法律上の原因がないのに他人の財産や労務によって利益を受け、そのために他人に損害
を与えた人は、この利益を不当利得として損失者に返還しなければなりません。
不当利得が生ずる場合として、利得が損失者の給付行為に基づく場合と、
給付行為に基づかない場合とに大別できます。
損失者の給付行為に基づく場合としては、例えば、AがBから土地を買う契約をし、
その代金を支払ったけど、実は売買が錯誤等により無効であった場合、または、
Bの詐欺・脅迫によることを理由としてAが取り消した場合(取り消すと
その契約ははじめより無効になる)、その代金は不当利得としてAに
返還しなければいけません。
このように「法律上の原因のない」給付すなわち契約の無効・取り消しの場合に既になさ
れた金銭の支払いや労務の提供等が不当利得になります。契約の無効原因としては、
虚偽表示、錯誤、公の秩序善良の風俗違反、強行法規違背、脱法行為等が
あります。取消原因としては、詐欺・脅迫のほか制限行為能力が
あります。
相手側の債務不履行による契約解除の場合も先に給付していた物または金銭は返還されな
ければなりませんが、解除の場合については、不当利得返還義務により
重い原状回復義務が定められている。
利得が給付行為に基づかれない例としては、他人の所有に属する物を自己の物と思って
消費した場合(例えば盗んだものがそのまま現在する場合には所有権に基づく返還
請求や占有訴権の問題となる)添付の場合です。
利得者の返還義務の範囲は、善意つまり法律上の原因のないことを知らない受益者につい
ては現在利益の限度でありますが、悪意の受益者は受けた利益に休息を付けて
返還し、なお損害があるときには、その損害を賠償しなければ
なりません。
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