つまり、物権の設定や移転があった場合には、そのことが外部から認識できるように
必ず一定の外形を伴わなければならない、という原則です。
物権は排他性を持つ独占的な支配権なので
その所在を第三者が容易に識別できる手段を講じないと
第三者に不足の損害を与え、取引の安全を害するおそれが大きくあります。
そこで、この権利の存在を公示させようというのが、この原則です。
民法では動産については引渡し、不動産については登記が
原則的な公示方法として認められており
そのほかに判例で明認方法という特別な慣習上の方法が認められています。
しかし、民法のこのような原則が、現在、借地借家法等によって
修正されてきていることは、注目すべきです。
公示方法を施していない場合にどんな効果が生ずるかは、国によって異なり
大きく分けて成立要件主義といわれるものと対抗要件主義といわれるものとがあります。
前者は、登記や引渡しがなければ、例えば、抵当権を設定する契約をしても
それを第三者に主張対抗できないばかりか、当事者間でさえも
抵当権が設定させたことにならない、とする主義で、ドイツ法がその例です。
後者は、当事者間では抵当権が設定されていますが、
それを第三者に主張することはできない、とする主義で
フランス法やわが民法はこの立場をとっています。
なお、権利の変動を広く公示する必要は物権だけにとどまらず、
婚姻の成立に届出を必要としたり、債権の譲渡に通知または債務者の承諾を
必要とすることなどもこの原則の現れです。
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