占有代理人・代理占有(せんゆうだいりにん・だいりせんゆう)


例えば、地主と借地人との関係からみると、借地を直接支配しているのは

借地人ですが、借地人は借地契約に基づいて占有し、契約終了の際は

地主に借地を返還する義務を負い、一方地主は地代を取得します。

ですので、借地人だけではなく、地主も土地を事実上

支配しているとみることができます


また、預け人(寄託者)と預かり人(受寄者)、質屋と質入れ主との

関係もこれと同じように考えられます。


このように、ある人(Aさん)の直接の所持(占有)を通して他の人

(Bさん)もまたその効果を享受するという関係がある場合に、

民法はこれを「代理」になぞらえて、Aさんを占有代理人

Bさんを占有者本人と称し、Aさん・Bさん両者に

占有(権)が成立するものとして、その効果を

享受させています。

この場合、Bさんの占有を「代理占有」といいます。


占有代理関係は、ある人が他の人のためにする意思で所持するという

事実上の関係があれば成立しますので、上記のAさん・Bさん

との契約が無効の時でもこの関係は成立します。


しかし、占有代理人が自己の所持を失うことなどによって

代理占有も消滅します。