即時取得(そくじしゅとく)
動産を現に占有している無権利者を、真の権利者だと過失なく
誤信して取引をした者に対し、その動産について完全な
権利(所有権または質権)を取得させる制度です。
例えば、Pさんが所有する自動車を賃借人として占有するAさん
が、その自動車を自己の物としてBさんに売却あるいは質権
を設定し、引き渡した場合、BさんはAさんに処分権限の
ないことを知らず、且つ知らないことに過失がない
ことを要件として、その物に所有権若しくは質権
を取得します(反対に、Pさんは所有権を
喪失し、または質権の負担を受けます)。
この制度は、動産取引の安全を図るため、動産の占有に
「公信力」を認めたものですが、不動産の取引には
適用されません。
また、取引安全の保護を目的とする制度でありますので、
取引によらない占有取得の場合、例えば他人の山林を
自己のものとして伐採し材木の占有を取得しても、
この制度の適用はありません。
ただし、例外として、動産が盗品または遺失物であるときは、
被害者または遺失主は、盗難・遺失の時から2年間は
占有者に対してその物の返還を請求できます。
この場合、占有者がその物を競売や公の市場で善意で
買い受けたものであるときは、代価を弁償しなけ
ればなりません。
この制度の成立要件としては、善意、無過失、平穏、
そして公然に占有を取得したこと、適法な取引
行為によって取得したことが挙げられます。
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