物権的請求権(ぶっけんてきせいきゅうけん)
物権の円満な実現に対する妨害または妨害の危険がある場合に、物権に基づいて
妨害者に対して妨害またはその危険の除去・予防を請求することが
できる権利をいいます。
我が国の民法では、一応物権的返還請求権・物権的妨害除去請求権・物権的
妨害予防請求権の3権が定められており、「物上請求権」とも称します。
しかし、民法上では具体的な権利については定められておらず、
単に占有権に基づく占有訴権のみが規定されています。
物権的請求権は、物権に基づく完全な支配が他人によって違法に妨害され、
または妨害される危険にさらされる場合に、現在妨害または妨害の
危険を引き起こしている者に対して成立します。
その妨害または妨害の危険が直接現在の妨害者によって引き起こされた
か、第三者によるのか、また妨害者に故意や過失があるかどうかを
問いません。
もっとも、この者に支配を正当ならしめる法律上の根拠(借地権など)
があれば、その支配はそもそも「妨害」とはいえず、物権的請求権
は成立しません。
また、物権的請求権の行使が具体的事情によって「権利の濫用」
として許容されない場合もあります。
物権的請求権は、占有訴権の場合と異なり、行使する期間に
制限がなく、それだけで消滅時効にかかることもないと
考えられています(通説)。
なお、物権者に損害があればその賠償をも請求できますが、
相手方の故意または過失があることを必要とします。
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