代理人が、その資格において意思表示をする場合には、相手側に対し、本人のためにする
ことを示さなければなりません。これを顕名主義と呼びます。「本人のためにすることを
示す」というのは、代理人資格を表示して、というほどの意味であって、代理人が、
内心自己の利益を図るつもりであったとしても、そのことだけで、代理行為が無
効になることはありません。
顕名主義違反の意思表示は、代理行為とならず、代理人が自己のためにしたもの、いいか
えれば個人の立場でしたものとみなされます。もともと顕名主義は、代理人の立場で行
動するものであることを相手側にわからせるためのものであるので、そのことを相手
側が知りまたは知り得る状態にあれば、顕名の必要がなく、したがって、この場合
における代理人の意思表示は代理行為となり、その効果は直接本人に帰属する。
顕名主義は、相手側が代理人に対して意思表示をする場合にも貫かれ、代理人
に対して、本人のためにすることを示さなければ、本人に対して効力を生じ
ません。
なお、商行為の代理については「本人のためにすることを示さないでこれをした場合であ
っても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる」という特則があります。
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