メーンの1861年の名著「古代法」に、「進歩的な諸社会の推移はこれまでのところ、

身分から契約への推移であった」と述べられています。 

近代以前の、農業生産を中心とする農奴制・封建制経済社会にあっては、人間は

家族的束縛と村落共同体の構成の中に存在し、その身分・階級があらゆる

法律関係を形成する基礎であって、その身分・地位を越えて自由な

意思的活動は抑えられていました。

やがて生産様式の変化とともに資本主義的生産が芽生え、産業革命の遂行とともに、

資本主義的な経済・社会が樹立され、私的所有と近代的自由取引が基幹となって

自由な意思的行為すなわち契約が重要な意味を持つようになります。 

そして、すべての経済社会的関係は、契約によって形成されるようになったのです。

このような事態を適切にとらえて、メーンは「身分から契約へ」

という短言で表現しました。 

近代法を論じ法律上の制度を考える場合、不朽の名言ということができます。