地役権(ちえきけん)
設定目的に達するため、甲土地の利益のために乙土地を利用し、ここを通行したり
引水したりする物権をいい、用益物権の一種です。
その際、甲土地を要役地(ようえきち)、乙土地を承役地(しょうえきち)といいます。
これによって甲土地の利用価値を増すものでなければなりません。
例えば、甲土地の所有者がたまたま昆虫学者で乙土地の所有者と乙土地で採集しても
良いという約束をしても、それは甲土地の個人的利益のためのものであるので
地役権には当たりません。
2つの土地の間の利用の調節を図る点で、相隣関係に似ていますが、相隣関係が
最小限度の利用の調節を目的として法律上当然に生ずるのに対して、
地役権は原則として契約によって設定される点で
相違があります。
地役権には、甲土地のために乙土地を通行する権利や乙土地から水を引く権利、
乙土地に高い建物を建てさせない権利など、さまざまな種類があります。
甲土地の所有者と乙土地の所有者との契約によって生ずるのが一般的ですが、
甲土地の所有者が時効によってこの権利を取得することもできます。
ただし、時効によって取得し得る地役権は「継続かつ表現のもの」、
すなわち地役権の行使が間断なく外部から見えるもので
なければなりません
(最後の例は時効で取得することはできません)。
甲土地の所有者が乙土地を利用できるとしても、できるだけ乙土地に
迷惑のかからぬように利用しなければならないのは
当然のことです。
地役権は甲土地に付着する権利でありますので、甲土地の所有者が
変更しても消滅することはありません。
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