権利質(けんりしち)


物以外の権利の上に成り立つ質権をいいます。

質権は物の上に成り立つほか、債権や株主権のような権利の上にも成り立ちます。


元来、質は物について認められた制度でありますが、各種の権利が一個の財産として

経済的に重要な意味を持つようになるにつれて、物を質に入れるのと同様に

権利を質に入れることが認められました。


現在では、権利質は銀行金融などで重要な作用をもたらしています。


権利質の目的となることができる権利は、譲渡することのできる財産権です。

しかし、所有権、占有権、地役権などは、その権利の性質上、権利質の目的とは

なりませんし、鉱業権、漁業権などは政策上、質の目的とすることが

禁止されています。


債権と株主権が、最も主要な権利でありますが、永小作権、無体財産権などの

上にも成り立ちます。


権利質は、目的物を取り上げて心理的圧迫を加える作用は少ないですが、

目的物から優先的に弁済を受ける点では有体物の質と同様です。


しかし、その性質上、成立条件や対抗要件などについて普通の質と

異なる取り扱いを、我が国の民法や商法で規定しています。