支配権・形成権に対する概念です。
例えば売主は買主に対して代金債権を有しますが、
これに基づいて代金請求権が生じるし、家主は借家人に対して
貸家の返還債権を持ちますが、これに基づいて返還請求権が生じます。
また、支配権たる物権の円満な実現を妨害する者に対して、
物権者は物権的請求権を持ちます。親族間での扶養請求権や夫婦間の
同居・扶助請求権も請求権であります。
請求権に関する重要な問題点として、請求権の競合という問題があります。
例えば、立ち退かない借家人に対して明渡しを請求する場合、家主兼所有者は、
一方で借家契約に基づいて明渡請求権が生ずるとともに、
他方で所有権に基づく物権的返還請求権も生ずると考えられます。
そこで、この両者の関係をどのように考えるか、であります。
通説・判例は、右の2つの請求権が共に発生し、
貸主はそのいずれを行使してもよいと考えます(請求権競合説)。
しかし、このいずれか一方のみが生ずるとする説(法条競合説)もあります。
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