根抵当(ねていとう)


銀行と商人の間で締結した当座貸越契約や、卸売商人と小売商人との間の約束手形

契約のように、継続的取引でその間債権額が増減するような場合に、将来、

一定の決算期日において弁済されない貸越額(銀行の債権額)や、

約束手形の未決済額(卸売商人の債権額)を担保するために、

あらかじめ設定される抵当権を根抵当といいます。


我が国の民法に明文の規定のないまま取引界の必要から生まれ、判例がこれを

承認してきた制度でしたが、取引上不明確な点が多々ありましたので、

昭和46年6月3日法律99号によって、民法の中に根抵当に関する

規定が設けられるようになりました。


普通の抵当権との相違点は、

①普通の抵当権は現実に発生し存在する確定額の債権を前提として成立しますが
 
 (成立における附従性)、根抵当においては被担保債権の範囲を明確にし、

 元本確定期日(決算期日)と極度額(その根抵当で優先弁済を受けられる

 最高限度額)を定めれば、最初に債権が存在しなくても有効に

 成立すること

②普通の抵当権では、債権が弁済によって消滅すれば抵当権もまた消滅しますが
 
 (消滅における附従性)、根抵当においては、確定期日前の個々の債権の発生
 
 及び消滅は抵当権に消長をきたすことなく、確定期日における債権額が
 
 担保されること

③普通の抵当権は債権存続中は債権に附従し、随伴しますが、根抵当においては
 
 抵当権は債権から独立した、いわば一つの枠として考えられていて、

 普通の抵当権とは異なった処分の仕方が認められること

などです。
 

しかし、確定期日が到来すれば、極度額を限度として、残存している債権額に

限って抵当権によって担保され、それ以後は普通の抵当権と同じ

取り扱いを受けます。