株式会社の設立の場合、発起人が出資金を十分持たないで

設立しようとする場合が多く、かつて商法は資本充実を確保し、

会社設立の不正を防止する制度として、払込取扱銀行の株式払込金保管証明書を

登記申請書に添付させることにしました。ところが、

発起人が払込取扱銀行から払込金相当額を借入れして払い込み、

返還制限を付する、いわゆる預合が行われるので、

払込銀行に保管証明責任を課することで防止しようとしました。

(平成17年成立の会社法では募集設立の場合の募集株式の

払込みについてのみ保管証明義務があります)。

しかし、これを脱法して第3者より払込金を借り入れ、これをもって銀行に払い込み、

会社成立後、払込金の返還を受けた取締役がこれを

右第3者への借入金の返済に当てるという払込みの方法が利用されています。

これがいわゆる「見せ金」です。

これは、会社の資本充実を著しく害することとなるので、

このような払込みの無効の問題と、払込取扱機関との間に通謀がある場合の

保管証明責任の問題(募集設立における募集株式の払込みの場合)、更に、

預合に関する刑事責任規定の適用の問題が生じますが、

多くの学説は見せ金による払込みの効力を否定してこれを無効としており、

また預合と見せ金の中間形態について同様の結果を認める判例があります。

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