行政的規制の必要から、一定の行為を禁止したり制限する規定を取締規定といいます。
違反に対しては、行政上・刑事上の制裁を伴うことが多いです。これに対し、
取締規定違反の法律行為が有効か無効かは、
その規定の解釈を通して決まり、
無効とされる場合を効力規定といいます。効力規定であることが明示されていない場合、
違反行為の効力の有無は、その規定の目的、違反行為等の不法度、
取引の安全など、あれこれの利害を考慮して決められます。
判例は、ほぼ、次の結果を導いています。
①自動車運送事業のように一定の資格を有する者に限って営業を許している場合に、
許されている者が、その名義を貸す契約(名板貸)は無効だが、
無免許の業者がした個々の営業上の契約(例→運送契約)は有効です。
もっとも、弁護士でない者の弁護士活動は、
公の秩序、司法制度の根幹を揺るがしかねないので、かかる者がした事件の委任契約は、
公序良俗の反し無効とされます。
②宅地建物取引業者の仲介報酬には制限があります。このように価格統制がある場合に、
これに違反した契約は、違反部分につき無効となります。
③有毒食品の販売は禁止されています。このようにある物の取引が禁止されている場合、
戦中・戦後の物資統制違反の契約については、これを無効としていたが、
有毒食品の販売については、有毒であることを知ってなされた契約は、
取締規定違反のゆえではなく、公序良俗に反し
無効とされるようになりました。
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