利息債権(りそくさいけん)
利息の支払いを目的とする債権をいい、利息請求権ともいいます。
利息とは、法定果実の一種です。
流動資本たる元本債権の額と存続期間とに比例して(一定の利率によって)支払われべき
金銭または金銭以外の代替物です(米を利息とする利米など)。
固定資本の使用の対価である賃料は利息にはあたりません。
利息債権は消費貸借や消費寄託を伴うことが多いですが、売買代金を準消費貸借として
利息を付することもあります。
消費貸借は、民法上では利息をつける旨の特約によって利息付きとなりますが、
商法上では当然に利息付きとされます。
遅延利息と呼ばれるものは、実は履行遅滞に基づく損害であり、遅延利息請求権は
本来の利息請求権ではありませんが、利息や利息請求権と同じように
取り扱われます。
利息債権については、基本権たる利息債権と支分権たる利息債権との区別に注意
しなければなりません。
基本権たる利息債権とは、一定時期に一定率の利息を生じさせることを目的とする
債権です。
そして、この基本的な利息債権に基づいて、一定時期に一定額の利息請求権が
具体的に発生します。
これが支分権たる利息債権です。
例えば、利率を月一分として利息月末払いの特約で、2年の期間を定めて元本10万円の
消費貸借をすると、この契約関係は基本権たる利息債権付消費貸借であり、
各月末ごとに支分権たる1,000円の利息債権が発生します。既に現実化した(発生した)支分権たる利息債権については、独自に消滅時効が
進行します。
なお、支分権たる利息債権に対する抵当権の効力については民法375条を
ご参照ください。
利率の特約がない場合には、民法上では年5分とされ、商法上では年6分と
定められています。
これを法定利率といいます。
利率は特約で定めることができますが、暴利を許すことは社会正義に反しますので、
金銭の貸借については利息制限法によって約定利率や損害金の約定について
最高限度率が制限されています。
かつては、制限超過分を任意に支払った場合には利息の支払いとして有効と認められる
旨の規定がありましたが、平成18年に成立した改正利息制限法によりこれらの規定は
削除されました。
またかつて貸金業法は、利息制限法1条の制限利息を超えた場合であっても、債務者が
任意に支払った部分については、一定の要件の下に有効な利息の弁済とみなして
いましたが、この規定も前述の改正利息制限法により削除されました。
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