連帯債務(れんたいさいむ)



 同一内容の給付について、二人以上の債務者が各自独立に全部の弁済をなすべき債務を

負担し、そのうち一人が弁済をすれば、他の債務者もことごとく債務を免れる

債務関係をいいます。


 各債務者の債務が独立のものであって主従の差がない点において保証債務とは

異なります。


 その点が保証債務よりも有力な担保制度となる原因の一つです。


 債権者は、連帯債務者の中の任意の一人若しくは数人、または全員に対して全部

または一部の請求をなし得ます。


 数人または全員に対して請求するときには、同時に請求することも順次に請求する

ことも妨げません。


 連帯債務者の一人について、弁済・代物弁済・供託・受領遅滞・相殺・請求・更改・

免除・混同・時効が生じると、その効力は、ほかの連帯債務者にも及びますが、

それ以外の事由が生じてもほかの者には関係ありません。


 連帯債務者は、債権者に対し、各自独自に全額の弁済義務を負いますが、債務者の

内部では負担部分が定まっています。


すなわち特約があればそれにより、特約がなければ平等ということになります。

 
たとえば、Dさんに対する90万円の連帯債務をAさん・Bさん・Cさんの3人が
負担していれば、負担部分は30万円ずつということになります。


 そこで、一人が負担部分以上の弁済をすれば(例えばAさんが90万円を支払えば)

ほかの者の負担部分に当たる額の償還を求めることができます(Bさん・Cさんに

対しそれぞれ30万円ずつの支払いを求めることができます)。

この権利を求償権といいます。


 連帯債務者の一人が弁済をするには、その前と後とに他の者に通知する義務が

あります。


この通知を怠ると求償権に制限を受けることがあります。


 AさんがBさん・Cさんから30万円ずつ求償する際にCさんに資力がなければ、

Cさんの負担部分30万円はAさん及びBさんが負担部分に応じて、

すなわち15万円ずつ負担します。


 しかし、この場合、DさんがBさんには30万円しか負担させないと申し出れば

(連帯の免除)、Cさんの無資力により、Bさんが追加して負担すべき

15万円は債権者たるDさんが負担することになります。