保証債務(ほしょうさいむ)



 主たる債務と同一内容を有する従たる債務であって、主たる債務を担保する作用を

なすものをいいます。


 保証契約は書面等でしないと無効となります。


 主たる債務がなければ、保証債務は成立しませんし、主たる債務が消滅すれば、

保証債務もまた消滅します(附従性)。


 ですから主たる債務者が制限行為能力者であったためにその法定代理人が主たる

債務を取り消したような場合には、保証債務も消滅します。


 しかし、保証人が当初主たる債務者が制限行為能力者であることを知っていた

ときは、保証債務は消滅しません。


 また、債権譲渡(債権者が代わる場合です)のときは保証債務は消滅しませんが

随伴性)、債務引受(債務者が代わる場合です)のときは消滅します。


 保証人が履行しなければならないものは、特約がない限り、主たる債務はもとより、

その利息、違約金、損害賠償などにあたります。


 債権者が保証人に請求してきたときには、保証人は、第一に先に主たる債務者に

請求しなさい、と抗弁できます(催告の抗弁権)。


 但し主たる債務者が破産宣告を受けたり、その行方が分からないときは、

上記の抗弁はできません。


 第二に主たる債務者に弁済の資力があり、且つそれは弁済を受けやすい資産だと

いうことを証明し、その資産から弁済を受けなさい、と抗弁し得ます

検索の抗弁権)。


 この2つの場合に、債権者が保証人の抗弁に応ずることを怠り、主たる債務者から

一定部分の弁済を受けられなくなったら、その部分だけ保証人は弁済をする

義務が無くなります。


 保証人は主たる債務者が債権者に対して有する債権をもって相殺することができます。

主たる債務者について消滅時効の中断、そのほか種々の事由が生ずれば、

それは保証人についても効力を発します。


 保証人が主たる債務を弁済すると当然に主たる債務者に対し求償することができます。

保証人は弁済する前後に主たる債務者に通知すべきで、通知を怠ると求償権が

制限されることがあります。


 将来、被用者が不都合な行為をした雇主が損害賠償債務を追った場合のために

身元保証がなされることがあります。


 一種の条件付債務の保証です。


 これには身元保障法という特別法が制定されています。


 なお平成16年成立の改正により、個人が貸金等の債務についていわゆる

根保証(一定の範囲内で発生時期や内容、金額が未確定の債務を保証

することです)をする契約について、保証人を保護するための

特則が置かれました。