所有権移転登記

 所有権移転登記は、最も通常の形態の登記手続です。

 この登記の申請に際しては、登記権利者は、申請に際して掲げた住所を証する

市町村長もしくは区長の証明書(居住証明書)

またはこれを証する情報を添付して

提出することを必要とされています。

これは、架空・非実在の人物が所有権登記名義人となると、実体法上の権利関係の

不明瞭をもたらすのみならず、その後の登記手続上の処理に

はなはだしい渋滞をもたらすからです。

 土地収用による起業者の所有権取得は、その性質上原始取得であるが、

その登記は、所有権移転登記によるべきこととされています。

土地または建物の収用による所有権移転の登記は、

起業者が単独でこれを申請することができ、

官庁または公署が起業者であるときは、

その官庁または公署は、遅帯なく、

所有権移転登記を嘱託しなければなりません。

 平成16年改正前の不登法では、収用による所有権移転登記の申請・嘱託には、

収用の裁決が失効しなかったことを証する書面を申請書・嘱託書に

添付することを求めていました。

収用の裁決が失効しなかったことを証する書面とは、収用によって

被収用者が被る損失が、起業者によって既に補償されていることを

証するに足りるものをいいます。