実子(じっし)



  自然の親子関係にある子で、自然の親子関係にない養子に対する観念です。

 自然の親子関係にあるかどうかは今日の生物学・医学等の自然科学の総力を挙げても

 すべての場合を尽くして客観的に判別できるほどには至っておらず、我が国の

 民法は実親子関係の存否につき、さまざまな推定規定等を置いています。

 
  親子関係存否の推定規定は反対証明を以って争うことができますが、争う者に挙証

 責任を負わせますので、推定を破ることは現実には困難な場合が少なくありません。

 反面、裁判所による親子関係の存否の判定は裁判官の自由心証(裁判官の自由な判断━

 裁判官の勘)に委ねられていて、しばしば誤判を生じます。

 婚外関係から生まれた子にも、生物学的・生理学的な父が当然に存在しているのであり、

 自然血縁尊重の原則は、この場合を父未確定な場合としてその確定方法について

 法制度を立てなければならないにもかかわらず、我が現行法はなお後進的に

 父の意思による認知(法律上の親子関係を設定する法律行為です)をまって

 はじめて実親子関係が発生するものとしています。

 婚姻関係にある者の間の子を嫡出子といい、婚姻関係にない男女間の子を嫡出でない子
 
 または非嫡出子といいます(内縁関係にある男女間の子も非嫡出子です。婚外子

 父との関係においては認知をまってはじめて出生時にさかのぼりその法的地位を

 取得し、その認知がなければ他人であるにすぎません)。

 婚内子・婚外子の語法もあります。