検察官の公訴権に対応するものが被告人の弁護権です。検察官の有罪判決請求権に対し、

その権利の不存在・行使が許されないものであることなどを主張して自己の人権を

擁護する権利です。そしてこの権利は被告人のみならず被疑者にも認められます。

 この弁護権を行使し得るのは被告人および被疑者であるが、最も直接かつ具体的に行使するのは弁護人です。

弁護人は、被告人および被疑者の正当な利益を擁護することによって、刑事司法の公正妥当な運営に

協力します。その意味では、被告人および被疑者の利益のみを擁護するものではないです。

 したがって弁護人は被告人の不利益に帰すべき行動をしてはならないが、

保護するのは被告人の正当な利益に限られ、

被告人の意見に拘束されません。

例えば無実の被告人が有罪を欲していても無罪の弁護をしなければならないのです。

また仮に被告人の利益になっても虚偽の証拠を提示することは許されません。

もし知っていながら提出すれば証拠隠滅罪か偽証教唆になります。

 具体的な弁護人の権利として、弁護人固有の権利と、被告人の代理人としての権利の二つがあります。

 弁護人固有の権利-①差押捜索状の執行を立会い、検証の立会い、証人尋問の立会い、証人に

対する尋問等です。以上の権利は被告人も重複して有しています。

②被告人・被疑者との接見交通、記録の閲覧・謄写、

鑑定の立会い等の権利です。

 弁護人の代理権-勾留に関する各種の権利です。証拠保全の請求、公判期日の変更請求、証拠調べの請求、

証拠調べに関する異議権、忌避の申立て、上訴の申立て等の権利があります。