面接交渉権(めんせつこうしょうけん)



  離婚後は父母のうち一方が未成年の子の親権者となりその膝下において養育し、

 親権者でない方の父または母は経済的監護(養育自体ではなく養育費の負担)

 を負わされるだけです。

 この親権者でない方の父または母が子と面接を求めるとき、これを許すか否かは

 子に与える精神的影響からして積極論・消極論の両論があり、西欧の法律では

 一般にさまざまな制限の下に権利としてこれを認容しています。


  日本の法律では、この点につき何らの規定が置かれていませんが、親権者でない方の

 父母から未成年の子との面説を要求する申立てが家庭裁判所になされる争いが

 近年顕著となったのに伴い、学界でもこの権利をどのような限度において

 認めたら良いかがにわかに問題化して今日に至っています。

 面接交渉権を認容すること自体においては異論がなく、どのような限度において

 どのような方法によるかに問題の焦点があります。

 親と未成年の子との法的親子関係の究極にあるものは未成年の子の要保護性の

 補完であり、この補完は何よりも優先して無条件に行なわれなければならず、

 したがって我が子に会いたい、話をしたいという親権者でない父または母の

 意思も、この最優先・無条件の要保護性補完に支障をきたすこととなれば

 これを否定しなければならないということが、この問題を正しい解決に

 導く鍵をなすものです。


  親権者でない方の父または母が監護(権)者である場合には、逆に親権者で

 ある方の父または母につき同様な権利を認めるかどうかが問題となります。

 子が成年に達した後は、子と親との自由な意思の合致により交際するか

 どうかが決められ、例えば子の側から交際拒絶があったとき、これを

 家庭裁判所に申立てをする道はありません(子の成年到達による

 面接交渉権の消滅)。

 親子の交渉関係が断絶状態にあっても、扶養の権利義務関係については

 変動を生じず、裁判上扶養請求の道も閉ざされることはありません。