代行親権(だいこうしんけん)



  婚姻適齢に達した未成年者が婚姻をしたときは、その未成年者たる夫または妻は

 婚姻によって成年に達したものと看做みなされます(成年擬制)。

 したがって、当該未成年者たる夫または妻は行為能力者として親権から解放されます。

 かような夫婦間に子が出生したときは、当該夫婦が年齢的には満20歳未満で

 あっても行為能力者としてその子の親権者となります。

 これに反し未成年者が婚姻によらずに子を出生しても、子の出生により成年に

 達したものと看做されるわけではありませんので、その新生児に対し

 親権者とはなりません。

 行為能力者である親にして、はじめて制限行為能力者に対し親権を行なうことが

 許されるからです。

 だからといって、かような未成年者の新生児が何人による保護なくして

 放置されても良いわけではありません。

 かくして我が国の民法は、親の親権に服している未成年者が婚外において

 子を出生したときは、このみ成年者たる子の親権者がその親権に

 服している未成年の子に代わって親権を行なうものと

 しています。

 これが代行親権の制度なのです。

 上記の場合、親権者を欠き後見人の保護下にある未成年者(被後見人)が

 子を出生した場合だと、当該被後見人に代わってその後見人が

 被後見人の出生した子に対し親権を行なうものと

 されています。