麻薬取締法違反のような犯罪は、集団的・組織的に行われるので、その発見や証拠を集めるのが

非常に難しく、謙虚が不可能な場合さえあります。そこで、捜査機関が

「おとり」を使って「わな」にかけることが用いられます。

つまり捜査機関あるいは依頼を受けた者が、

その犯罪を唆したり、手伝いをしたりし

、容疑者が犯罪の実行犯にうつるところを捕まえるのです。

このようなやり方を「おとり捜査」といいます。

 ヨーロッパでは、アジャン・プロポカトゥール、あるいは未遂の教唆の一形態として、

わなにかけた者の刑事責任を問題としました(刑法の別項参照)。

アメリカでは「わなの理論」として、

わなにかかった者の処分を問題としました。日本でも、管生事件の戸高警察官が

「おとり」役を演じたのではないかとして問題になったことがあります。

 このような捜査方法の適法性あるいは「わな」にかかった者の処分について、学説は一致した結論を

出していないが(免訴説、公訴棄却説、証拠排除説などがあります)、最高裁判所は

麻薬取締法違反事件について、「おとり捜査」の合法性を肯定し、

わなにかかった者の有罪を認めています。