扶養(ふよう)



  親族間に分配されている要保護者に対する経済的給付をいいます。

 夫婦相互間および親の未成熟の子に対するものは、その給付内容が高度となっています

 が(その関係発生の直接・能動性に基づきます)、その他の親族間(成年同士の

 親子の場合を除きます)にあっては低度なものとされています。

 前者の場合は生活保持の義務と称され、一皿の飯といえども分かち合わなければならない

 ものとされ、後者の場合は生活扶助の義務と称され、自らが食べてゆとりのある

 場合に付与する義務が成立するものとされます。

 直系血族と兄弟姉妹間には相互的に扶養期待権が与えられ、要保護性の生起により

 一方から他方への扶養請求権が現実に発生します(現実に扶養しあうという

 関係に立つ場合はなく、常に一方は扶養権利者、他方は扶養義務者と

 して相対します)。


  特別の事情があるときには家庭裁判所は申立てに基づき、前記を除く三親等内の

 親族間に創設的に扶養の権利義務を負わせることができます。

 扶養の権利・義務者が数人存するときに扶養を受けるべき者、扶養をすべき

 者の順序は当事者の協議により、協議が調ととのわないときは申立てによって

 家庭裁判所がこれを決定します。

 扶養の程度・方法についても、同様です。

 扶養を受ける権利は、権利の性質上他人に譲渡したり、担保に入れたり、

 差押えをしたりすることが禁止されています。