白地刑法(しらじけいほう)



  白地刑罰法規または空白刑罰法規とも称されます。

 法律が一定の刑罰だけを規定し、その要件である犯罪の規定を他の法律または
 
 命令に委任している刑罰法規をいいます。
 
 犯罪に関する部分が白地のままになっている、という意味です。


  例えば、刑法94条の局外中立命令違反罪の規定は、「外国が交戦している際に、

 局外中立に関する命令に違反した者は、3年以下の禁錮又は50万円以下の

 罰金に処する」と規定し、中立命令の違反に対する刑罰を定めては

 いますが、具体的にどういう行為が、それにあたるのかは、

 中立命令が発せられてはじめて決まりますので、

 白地刑法の適例とされています。

 憲法31条・73条6号などとの関係からいって、政令以下の命令に対しての

 包括的委任は許されず、委任が特定の事項に限られていることが

 必要なのです。


  なお、白地刑法という語句には、ドイツの刑法学者ビンディングの創称に

 かかるものであり、「枠付刑法」とも称されています。