類推解釈(るいすいかいしゃく)
法律の規定には明言されていませんが、その明言された要件に類似する事実の
実現した場合に、その規定の適用があるものと解釈することをいいます。
刑罰法令以外のものでは、大幅に認められていますが、刑罰法令については、
罪刑法定主義の原則があるため、まったくこれを認めないとする説と
厳格な制限の下に認めようとする説とがあります。
もっとも、適用を受ける行為者にとって有益な類推解釈は、罪刑法定主義に
反するものではないことは明らかなので、これを肯定することに
異論はありません。
また、行為者に不利益になる場合については類推解釈は許されませんが、
拡張解釈でしたら差し支えないとする説が有力です。
しかし、拡張解釈も結局は類推解釈の一つの場合に他なりません。
したがって、論理的必然な合目的的解釈である限り、刑罰法令の解釈論としても
厳格な制限の下に類推を許すことになるのが今日現に通用している解釈論です。
罪刑法定主義がありますから、いわゆる拡張解釈という意味をも含めて
すべて類推解釈は許さないという理論は、前近代的なものといって
よろしいでしょう。
例えば、過失往来危険罪の規定には汽車、電車、船舶を掲げながら
ガソリン車を挙げていませんが、ガソリン車の事件に、この規定を
適用して処罰した判例があり、学界もこれを容認しています。
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