拳証責任とも証明責任ともいわれます。ある主要事実の証明のために、
立証活動を尽くしたが、その事実の存否(真否)については、
裁判官がそのいずれとも確信を形成できないときに、
その事実を要件とする自分に有利な法効果
(権利の発生や消滅)が認めてもらえない不利益または危険の負担をいいます。
例えば、原告が、「お金を貸した」という事実のための証拠を出して、
ある程度は貸したらしいというところまでこぎつけたが、
どうしても、裁判官に確信を得させることができないときには、
結局、「お金を貸した」とは認められないという不利益です。
他方、被告は「弁済した」という事実に
立証責任を負います。
このように、立証責任は、原告か被告のどちらかの一方が負担しているが、
これを立証責任の分配といいます。その分配の基準については、現在、
法律要件説が通説です。原告が権利の存在を主張している場合には、
実体法が定めている法律要件を基準として、
その権利の発生を定めている法律要件を構成している事実(権利根拠事実)は、
原告が立証責任を負い、その権利の消滅を定めている法律要件を
構成している事実(権利消滅事実)、
それに権利が有効に発生しないことを定めている法律要件を構成している事実
(権利障害事実)は、被告が負担しています。権利根拠事実とは、例えば、
売買契約の締結とか、不法行為を構成する故意・過失、
権利侵害(違法性)、損害発生、因果関係など、
権利消滅事実は、弁済や消滅時効の時の経過や権利を行使しないこと、権利障害事実は、
売買契約に錯誤があるとか、通謀虚偽表示などです。
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