具体的な事実が構成要件に該当するという性質をいいます。
違法性・有責性と並んで犯罪の成立要件の一つです。
ある事実が構成要件に該当すると、特に違法性阻却事由・
責任阻却事由がない限り、犯罪は成立します。
犯罪の成立のために構成要件該当性が必要とされることは
現在の通説となっています。
しかしこれが明確に主張されたのは比較的新しいことで、20世紀になって、
ドイツのベーリング(Behring)とエム・エ・マイヤー(M.E.Mayer)に
よって提唱・発展され、さらに、我が国の小野清一郎・滝川幸辰
両博士によって展開され、今日の地位を占めるように
なりました。
ベーリングとマイヤーは、犯罪はまず刑法各則のいわゆる
特別構成要件に該当するものでなければ
ならないとしました。
具体的な生活事実は構成要件該当性をもってはじめて
刑法上の問題となります。
これは、政策的には、罪刑法定主義の要請を満たすことになり、
理論的には、刑法の各論と総論とを結びつけることに
なります。
構成要件該当性は構成要件そのものや犯罪構成事実とは異なります。
構成要件とは構成要件該当性の判断の基本となる法的要件であり、
学者によって、あるいは純粋に記述的性質のものとし
(ベーリング)、違法性の認識根拠とし、(マイヤー)、
違法性の存在根拠でありそれは違法類型であると
され(メツガー Metzger)、あるいはそれは違法
類型であると同時に責任類型であるとされます
が(小野博士)、要するに刑法各条に
規定された観念形象です。
また、犯罪構成事実とは構成要件に該当した事実のことです。
これに対して、構成要件該当性は事実が法律上の
構成要件に該当するという性質をいい、
一つの判断を意味します。
構成要件に該当するとは、事実が構成要件に当てはまるということで
あり、部分的にのみ構成要件を実現した場合をも含みます。
完全に実現した場合が既遂です。
また、構成要件の内容は一人の行為によっても、また多数の人の
行為によっても実現されますし、実現可能でもあります。
前者が単独犯であり、後者が共犯となります。
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