犯罪を起訴し訴追する権限を国家機関である検察官だけが持っていることをいいます。

刑罰権の国家への集中と、裁判のやり方が糺問主義から弾劾主義へ移行する

過程とが結びついて、近代国家では起訴独占主義が一般的となりました。

 この独占主義の長所は、公共の利益を代表するものとしての検察官が、犯罪、犯人に対する

被害者の感情、社会の反響などにこだわらず、かえってそれらの要素をも考慮に入れた

総合的な立場に立って、起訴の是非を決定できるため、起訴便宜主義・検察官一体の

原則と相まって、刑事司法の公正を図れるという点にあるとされます。

しかしその反面、検察官の独断・専横と結びつきやすく、特に政治勢力と

直接結びつくときは、用意にファッショ化することともなるのです。

 そこで、現行刑事訴訟法では、検察官の起訴独占に対して、いくつかの点で、その是正・抑制が

図られています。すなわち、検察審査会の制度によってある程度民意を反映させ、

また、準起訴手続の制度を置いて、公務員の職権濫用罪につき、

起訴独占主義の例外を認めました。また、告訴、告発、請求のあった事件について、

検察官が起訴、または不起訴処分をしたときは、すぐにそのことを告訴人などに

知らせなければならず、特に不起訴処分をしたときは、その理由も

告げなければならないようになっています。

 このような是正・抑制が、現実には十分な機能を果たしていないことについて議論があります。

 なお、起訴の前提とされている親告罪の告訴、特別の告発(別項)なども

一種の制限として作用しているでしょう。