目的犯とは、犯罪の構成要件上、故意のほかに一定の目的の存在を必要とする

 犯罪をいいます。

 例えば、人が悪ふざけで他人名義の文書を作成したとしても違法ではなく、

 「行使の目的」がある場合に限って文書偽造罪が成立します。

 その他、通貨偽造罪、有価証券偽造罪、印章偽造罪、虚偽告訴罪、

 淫行勧誘罪、営利拐取罪、背任罪などがあります。


  目的犯の目的は、故意と区別されなければなりません。

 何故なら、両者はいずれも行為者の内心的要素ではありますが、故意は構成要件の

 対象とするのに対し、目的犯の目的はその客観的事実を超過するものであり、

 新たに違法性の有無・強弱に影響を与えるものだからです。

 したがって、目的犯の目的については、傾向犯の傾向、表現犯の表現と共に、

 これを主観的違法要素であると解するのが現在の通説となっています。


  目的犯は、構成要件的行為を行なうことによりその目的が実現されるか

 どうかによって、「結果を目的とする犯罪」(断絶された結果犯)と

 「後の行為を目的とする犯罪」(短縮された二行為犯)とに

 区別されます。

 前者は、内乱罪などのように、その目的が行為者の行為自体により

 自ずから実現されるものをいい、後者は、各種偽造罪の

 「行使の目的」などのように、その目的実現のため

 新たな別個の行為を必要とするものをいいます。