株主は1株につき一個の議決権を有し、株主総会において、

この議決権の行使によって、

自己の意思を表示します。

 この場合理論上、株主が1個の議案について、賛否2つの意思を

同時に表示することは矛盾するから、複数の議決権でも

常に1つの意思を表示する方向で統一的に

行使されなければならないという意見が多かったです。

 ところが、この議決権の統一行使は、株式の共有者の場合、

共有者を代表して出席する株主が(1名に限られる)、

他の共有者の自分と異なる意思を総会において

表示し得ることが合理的であるとして、

この場合に限り不統一行使を認めるべきだと

考えられてきました。

また、ADR(裁判外紛争解決手続)、株式管理信託、株投資信託において、

株主総会に出席する株式の受託者(これらの場合、受託者が株主となる)が、

委託者たる株主の意思を総会において

表示できることが望まれ、

ここに、議決権の不統一行使が認められることになったのであります。

 株主が2個以上の議決権を有するときは、これを統一しないで

(例えば100株の株主が80株は賛成、20株は反対というように)

行使することができます。取締役会設置会社で

議決権の不統一行使をしようとする株主は、

株主総会の日の3日前までに、会社に対し、議決権を統一しないで

行使する旨とその理由を通知しなければなりません。

 会社は、議決権の不統一行使をしようとする株主が他人のために

株式を有する者でないときは、その議決権の

不統一行使を拒むことができます。