19世紀の末から20世紀にかけて自然科学思想の影響の下、ドイツにおいて
有力に展開された一般的行為論です。
この理論は、行為を「有意的挙動による外界の変更」と把握します。
そして、有意行為としての意思は、その意思内容の如何を問わず、
単純に外部的動作及び結果を心理的・物理的原因によって
展開される因果的事象と解します。
故に目的的行為論の立場から、因果的行為論とも
称されています。
この自然的行為論を純粋に貫くと、不作為を行為概念に包含し得るかの
問題が残ります。
ラートブルッフ(Radbruch)は、心理的・物理的概念を純粋に貫き、
不作為は単なる無であり、行為ではないとの結論を導きました。
しかし、他の自然的行為論者は、ラートブルッフの行為論を
批判・修正して、不作為は、単に「何もしない」のではなく、
「
行為を「意思に支配された身体的挙動」とか、あるいは
「意思に基づく身体の動静」と把握して問題の
不作為を包含しました。
これが一般的にいわれている、いわゆる自然的・因果的行為論
として、現在の通説となっています。
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