本来、商法または特別法に商行為と定められているものを営業目的とする者だけを
商人として取り扱うとすれば、その中に入らない農・林・水・畜の各産物を
直販するいわゆる原始産業を営む者は、その経営方式や経営規模の
いかんを問わず商人に含まれず商法の適用外に
置かれることとなります。
それでは絶えず発展していく経済の実情にそわず、取引の相手方に
誤解を生むもととなります。
そこで、この者も商人として商法の適用下に置き、取引の安全を図ることとしたのです。
これらの者を総称して、擬制商人と呼びます。
商人概念を経営の形式、または企業の形態という面に着眼して、
形式的に示そうという現れです。
擬制商人には二種類あります。
その一は店舗その他これに類似する設備によって、商行為以外の方法で取得した
物品の販売を業とする者です。
その二は鉱業を営む者です。
第一のものは、果樹園経営者が直売所を設けて、その果樹園でとれたものを
販売するような場合であり、その外観において、他の商人(例えば、果物商)
と区分することは不可能であり、また第二のものは、その経営方法が組織的で、
経営規模も大きく、その点で他の営利企業と同じであり、
これを区分する必要をみないからです。
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