監査役の職務は、取締役(会計参与設置会社では取締役と会計参与)の

職務の執行を監査することであります

(定款の定めによって監査の範囲を限定する例外につき)。
 
 これは昭和49年の商法改正以後、監査役の監査がそれまでの

会計監査のほかに業務監査まで

拡大された結果であります。

従来は、会計監査は監査役が、業務監査は取締役会が各々に

担当していると解かされていましたが、後者の監督は、

むしろ業務執行の1態様であって、

業務監査は取締役会の結果の報告は株主に対してなされるのもではなく、

その実効性が疑問視されていました。

監査役による業務監査については、業務執行の適法性監査に

限定されるのか、妥当性監査にも及ぶのか争いがあるか

多数説は,妥当性監査に及ばないと解しています。
 
 また監査役は、法務省令で定めるところにより、

監査報告を作成しなければなりません。
 
 監査役は、いつでも取締役、会計参与、支配人その他の使用人に対し

事業の報告を求め、または自分で会社の

業務および財産を調査することができます。また

監査役は、その職務を行うため必要があるときは、

監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、または

その子会社の業務および財産の

状況の調査をすることができる

(子会社は、正当な理由があるときは、報告・調査を拒むことができる)。
 
 監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他

法務省令で定めるものを調査しなければならず、

法令・定款に違反し、

または著しく不当な事項があると認めるときは、その庁舎の結果を

株主総会に報告しなければなりません。
 
 また、監査役は取締役会の決議がおこなわれるときは、監査役の

互選によって、監査役の中から特にその取締役会に

出席する監査役を定めることができます。
 
 出席連述義務と関連して、一定の場合に監査役自ら

取締役会の招集をしたり、請求することも

認められています。
 
 また、取締役会が会社の目的の範囲内にない行為、その他

法令または定款に違反する行為をなし、これによって

会社に著しい損害を生ずるおそれがある場合には、

監査役は取締役に対しその行為をやめるべきことを

請求することができます。

これは事前に業務執行の適正を図るためであり、

監査役の権限であると同時に

業務でもあると解されます。

差止めの対象は、代表取締役、業務担当取締役、または

平取締役のいずれの行為であってもいいですが、

差止めの仮処分申請については、裁判所は

監査役に担保を立てさせることを要しません。
 
 更に、取締役と会社間の訴え、取締役の責任を追及する

訴えの提起の請求やその訴訟で通知などを

受ける場合等における会社の代表には、

監査役が当たることになっています。
 
 昭和56年の商法改正以前は取締役会の定める者が

会社を代表するのを原則としていましたが、

訴訟の公正さ等、常に会社の利益が図られるとは限らないので、

監査役が会社を代表することになったのであります。