その行為がなかったならば、そのような結果は生じ得なかったであろうという

 関係さえあれば因果関係があるとする説をいいます。

 この説は結果に対するすべての条件を平等に見ますので、

 等価説あるいは平等条件説とも称されます。


  この説によれば、例えば、傷は軽いものであったが、被害者が出血症患者であった

 ために亡くなったとか、被害者が手当てを怠ったために、傷口からバイ菌が入って

 亡くなったとか、AさんがBさんに致死量の半分の毒を飲ませたが、

 第三者がたまたま更に半分の毒を飲ませたので被害者が

 亡くなったといった場合などにも、すべて犯人の行為と

 死の結果との間に因果関係があることになります。


  この説は、因果関係論をはじめて独立の問題として取り上げたブーリー以来、

 最近に至るまで通説とされてきましたし、我が国の判例も基本的には
 
 この説を採用してきました。

 しかし、この説は実際の適用上、因果関係の範囲が

 無制限に広いものとなります。

 そこで、この不都合を救済するために「因果関係の中断」の

 理論が考え出されましたが、理論上妥当なものではなく、

 今日では過去の学説となってしまいました。