違法とは、行為者の有責性のある行為を前提とするということです。

 客観的違法性という考え方に対立するもので、何が違法なのかと

 いうことを行為者の責任能力の有無を中心に決定しようと

 するものです。

 言い換えれば、行為は、それが客観的に違法であるだけでは足りず、

 行為者がその行為を違法なものと知り得る能力のある場合で

 なければ、違法とはいえないことになります。

 この立場からすると精神異常者は自分の行為につき違法という

 評価ができませんので、その行為は、常に違法ではなく、

 犯罪とはならないことになります(そこで、この者の侵害に

 対しては、正当防衛も成り立たないことになります)。

 元々、行為者がどう思うかということは、責任の問題と

 されますので、この考え方は違法の問題と責任の

 それとを混同してしまうもの、とされています。