自分の権利を保全するため官憲かんけんの力を借りる余裕のない時に、自ら救済行為を

 行なう場合(自力(じりょく)救済ともいいます)をいいます。

 例えば洋服を着込んだ犯人を発見したが、警察官を呼んでいたのでは

 間に合わないような場合に、自分がこれを取り返す行為が

 それに当たります。

 学説上、違法性阻却事由とされるものの一つですが、

 判例はほとんどこれを認めていません。

 典型的な場合はほかの理論、例えば領得りょうとくの意思の欠如、

 正当防衛などで説明できるからなのです。


  刑法238条の事後強盗につき、犯人から盗品を取り戻す行為が

 よく問題とされますが、これも正当防衛の理論で

 説明し得るもの、とされています。