従来商法は、資産評価の一般原価として、原価主義をとってきました。

(平成17年改正前商法34条)。

近代企業会計では、損益計算を中心とする損益法の体系から、

資産の評価について原価主義の立場とり、

更に固定資産の減価償却、

費用の期間配分のための繰越資産処理、逆に

費用の繰上計算としての引当金、

資本取引と損益取引との区別など具体的諸制度をもたらしました。

会社の計算が会社財産の現在高を示すための財産計算では

不十分であり、投資者一般のためにもあるいは

企業経営の重要な資料としても、損益の計算を

正確になすことが必用であります。

 商法は昭和13年および25年改正を経て、昭和37年4月に

損益法の諸制度を広く取り入れて、会社計算の規定を整備し、

昭和38年3月「株式会社の貸借対照表および損益計算書,

営業報告書および付属明細書に関する規則」が制定されました。

更に昭和49年商法改正で、損益法が取り入れられ、資産の評価については

原則として原画主義をとることになりました。

 これに対して、平成11年の商法改正によって、金銭債権等について

時価評価が可能とされることとなりました。

 なお、「暖簾(のれん)」については取得原価により資産の部に

計上することが認められています

(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲受け等により有償で取得した場合。

ただし、取得後20年以内のその効果が及ぶ期間にわたり、

取得価格から各事業年度ごとに定額法などの合理的な方法よって

規則的に減価償却しなければなりません。

会社計算規則5条2項、112条、企業会計原則参照)。

 このような資産評価については、法務省令の定めるところによるものとされ、

これに基づく会社計算規則でその詳細が規定されています。