自ら責任能力のない状態をつくり出し、その状態を利用して犯罪の結果を

 引き出すことをいいます。
 
 「酒の上の過ちだ」といえば大概の非行は大目に見られます。

 刑法上も、泥酔状態でなされた殺人や障害などは、心神喪失中の行為として

 罰せられないか、または心身耗弱者の行為として刑が減軽されます。

 そこで、ことさら酒に酔っ払ってそういう責任能力状態を自らつくり出し、

 その状態を利用して殺人を行なうような場合を「原因において自由な
 
 行為"Actio Libera in Causa" = アクチオ・リベラ・

 イン・カウザと称します。


  つまり行為の時には泥酔状態で判断能力も働きませんでしたが、泥酔状態を

 つくり出そうとして酒を飲む原因行為当時は、その能力が充分働いていた

 わけでありますので、その原因たる行為と事後の行為を合わせて

 殺人実行行為であるとし、これを処罰しようとするものです。


  酩酊めいてい行為は、それ自体には責任はありませんが、自ら犯罪を犯すつもりで

 酩酊状態をつくり出した場合、または平素酒乱の傾向のある者が

 迂闊うかつに深酒をした場合などは、泥酔中の犯罪について刑事責任を

 負うことになりますので、酒癖の悪い者は用心が必要と

 なります(「酒によって公衆に迷惑をかける行為の

 防止等に関する法律」を参照)。