行為者に責任を負わせるための条件の一つです。
 
 「故意に行なったのか、知らずに行なったのか」という言葉は、

 日常用語としても使用されています。

 悪いことである、法律に触れることであるということを知りながら、

 わざと行なった行為が故意に行なった行為です。

 うっかり、不注意で過ちをしでかす「過失」と区別されます。

 わざと行なった行為が、過ちで行なった行為よりも

 重くとがめられるのはごく当然のことです。

 そこで我が国の刑法では「犯罪を犯す意思→故意がない行為は罰しない」として、

 まず故意による犯罪を罰し、例外として過失犯を罰することを規定しています。

 「あの民家を焼き払ってやるか」と思って民家に火を点ければ、故意犯としての

 放火罪となりますが、たばこの火の不始末で火事を引き起こした場合は、

 過失犯としての失火罪にあたります。


  一口に故意といっても、いろいろな段階があります。

 あいつを殺してやろうとはっきり相手を定めて人殺しを意識するのを、確定的故意
 
 といい、これに反して、群集の中に爆弾を投げ込んで、誰かに当たるだろうと

 いう場合(概括的故意:殺したいと思って犯跡を隠蔽いんぺいするため土中に埋めたら、

 実は死亡していなかった相手が、そのため窒息死したような場合にこの語句を

 用いることがあります)や、AさんとBさんの二人のうちのいずれか一人を

 殺すつもりで拳銃で発砲する場合(択一的故意)や、殺すつもりはないが

 もしかしたら弾丸が当たってしまうかもしれない、それでも構わない

 という程度の気持で発砲する場合(未必の故意)を「不確定的故意

 といい、いずれも故意犯として処罰されます。