行為者の不注意によって犯罪事実の発生を認識しないことをいいます。

 
 故意と並んで責任の要件の一つです。

 知らずにうっかり火事を発生させたり、寝返りを打ったとたんに

 赤ん坊を圧死させてしまったりするのが過失にあたります。


  知っていてわざとやったわけではないので重くとがめたりすることはできませんが、

 注意さえすればそのような結果を招くことがなかったので、社会生活を営む

 普通人ならばお互いに人命や公共の安全について過ちのないように

 注意し合う義務があるはずです。


  この注意義務に違反し、重大な被害を発生させたことに対しては、

 過失犯としての刑事責任が問われます。

 刑法は故意犯を原則として罰し、過失犯は例外的に法律に

 過失犯を罰する規定のある場合に限って

 これを罰することとしています。


  このように過失は不注意に対する刑法的非難でありますので、

 如何に注意を払っても結果の発生を避け得なかったような

 場合は、不可抗力として過失犯すら成立しません。


  また、性格的に注意力散漫で注意したくても注意できるだけの注意能力の

 ない人間に対しては、不注意の責任すら追及できないわけでありますが、

 それではうっかり型の者が得をすることになりますので、

 注意できたか否かは通常、一般普通人の注意能力を

 標準として決めることになっています。