未遂犯のうちで「自己の意思により犯罪を中止した」場合を指します。
我が国の刑法上、未遂犯には二つの場合があり、一つは、障害未遂犯、
二つは、中止犯です。
前者は、客観的な障害によって犯罪を完了することのできなかった
場合であり、後者は、犯人の主観的な意思に基づき、任意的に
犯罪を完了させるに至らなかった場合です
(中止未遂)。
外国のある立法、例えば、ドイツ刑法等では、未遂犯といえば、
ただ障害未遂犯の場合、すなわち狭義の未遂犯のみを指し、
「未遂からの後退」(Rücktrit von Versuch)というのは、
犯人が、自己の行為によって発生しようとしている結果の
発生を防止しようと努力する場合のようなことをいい、
これは未遂犯とは区別して、それ自体としては
無罪とすべきものだとしています。
我が国の刑法上、障害未遂犯の法定刑は、既遂の場合と同じで
ありますが、ただ裁判官は自由裁量によって刑罰を減軽する
ことができるものとしているのに対し、中止犯の場合は、
裁判官は、その刑を必ず減軽または免除しなければ
ならないものと想定しています。
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