これには次の二種があります。
①一般の取戻権-破産管財人が破産者に属しない第三者の財産を破産財団に
組み入れた場合に、その第三者が管財人に返還を求める権利をいい、
その発生と内容は民法・商法その他の実体法によって定まります。
信託財産は信託法によって一般債権者は差押えをすることができず、
したがって、受託者が破産した場合は破産財団に属しません。
そして、破産者は受託者になることができないから、受託者が破産すると、
信託関係は終了し、委託者は取り戻すことができます。
譲渡担保がなされて譲渡担保権者(債権者)が破産した場合、譲渡担保設定者は
被担保債権を弁済して目的物を取り戻すことができるかについては議論があるが、
これを肯定するのが通説です。
仮登記担保については、立法的手当てが講じられ、債務者(設定者)が
破産した場合、担保権者(債権者)は抵当権者に準じて
取り扱われることとなり、取戻権は認められず
別除権を行使できるにとどまります。
所有権留保つき売買で、目的物引渡後代金未払いの間に買主が破産した場合に、
売主に取戻権が認められるかについても議論があります。
所有権留保の実質的目的が売買代金の担保にあるとすれば、売主には
取戻権ではなく別除権を認めれば足ります。
これによれば、売主は(イ)目的物を引き揚げて換価し、その代金から
優先的に弁済を受けるか(残額があれば買主に返還する)、
(ロ)目的物の評価額と未払代金との差額を提供して
目的物を引き揚げることができます。
②特別の取戻権-これには、(イ)売主が物品を発送後買主が代金を
支払わず、かつ物品を受け取らない間に破産した場合の売主の取戻権、
(ロ)物品の買入れを委託された問屋が物品を発送後委託者が
前記買主の場合と同様の状態で破産した場合の問屋の取戻権、
(ハ)破産者または破産管財人が取戻権の目的となる
財産を他に譲渡した際になす代償的取戻権があります。
なお取戻権行使の方法は、破産手続によらないで、破産管財人に
対し裁判上または裁判外で請求行使します。
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