破産財団に属する特定の財産から他の債権者に先立って

弁済を受けることのできる権利です。

破産法が特に認めた権利ではなく、担保権その他の実体法上の権利が

破産になっても主張できるという意味にとどまります。

破産財団に属する財産について、特別の先取特権・質権または

抵当権・商事留置権などがこれにあたります。

 別除権は破産手続によって行う必要がなく、各別除権の種類により

その権利自体について定められた方法によってなします。

例えば、動産・不動産を対象とする特別の先取特権・商事留置権・質権・抵当権

では、民事執行法による当該動産・不動産の競売、債権質では、

質入債権の直接の取立てまたは民事執行法による

担保権の実行などです。

また、仮登記担保権については、仮登記担保法2条以下の定めに従って、

その権利を行使でき、いわゆる私的実行を行うことができます。

 譲渡担保についても、設定者破産のとき、取戻権ではなく

別除権として扱われます。

 別除権者がその権利を行使するには、債権の額および原因ならびに別除権の

目的と未払予定額を届け出る必要があり、裁判所の調査のすえ、

この債権が確定すれば破産管財人は目的財産の表示を求めかつこれを評価し、

別除権者に弁済して受け戻すこともでき、別除権者が同時に

破産者に対する破産債権者であるときは、別除権者は

別除権の行使によって弁済を受けることのできない債権額についてだけ、

破産債権者としてその権利を行使することができるが、

別除権を放棄した債権額について、破産債権者として

権利を行使し得ます。

 近時、動産売買の買主が破産した場合に、債権者である売主から

売買目的物について先取特権が主張されることが多いです。

ただし、先取特権としての実行方法が確立されておらず、また、実質的にも

動産売買の売主に目的物からの優先換価を認める根拠に疑問があるため、

その権利行使は制約を受けています。

動産売買の先取特権は、民事執行法190条に基づく競売によることになるが、

売主が目的物の占有を取得している場合か、管財人が差押えに対して承諾して

いる場合か、等の条件がみたされていなければ競売はできません。

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