一つの行為が二つ以上の刑罰規定に触れるかのような外観を呈していても、

 実はそれらの刑罰法規相互間の関係上、そのうちの一つだけが適用されて

 ほかのものの適用は排斥される場合をいいます。



  
  例えば、森林の中の他人の立木を盗んだ者は、森林窃盗罪と刑法の

 窃盗罪の両方に当たるように見えますが、実は森林窃盗罪のみが

 適用され、火をけて他人の建造物を焼き払った者は、

 放火罪の適用だけを受けて、建造物損壊罪の適用を

 受けず (吸収関係) 、また他人から委託された物を

 横領する行為は、原則として同時に背任罪の

 要件をも満たしていますが、横領罪の成立を

 認めれば、背任罪を適用する余地は

 ない (択一関係) のです。