未だ確定裁判を受けていない数個の犯罪を指します。



  例えばある人が窃盗罪、横領罪、詐欺罪、殺人罪を順次に犯したとします。
 
 そのうちのどれもが未だ確定裁判を受けていないときは、

 すべてが併合罪となります。

 もし、ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときには、

 その罪とその裁判の確定前に犯した罪とだけが併合罪となります。

 上記の例のうち横領罪について裁判が確定したが、窃盗罪は

 その確定前に、詐欺罪、殺人罪はその確定後に行なわれた

 とすれば、窃盗罪と横領罪とで第一の併合罪が、詐欺罪と

 殺人罪とで第二の併合罪が成立するわけです。


  併合罪について同時に裁判を受ける場合には、

 刑法上の特別の取り扱いを受けます。

 すなわち、そのうちの一つの罪について、死刑または無期懲役・

 禁錮に処すべきときは原則として他の刑を科しません。

 併合罪のうちで、二個以上の罪について有期懲役・
 
 禁錮に処すべきときは、そのうちで最も重い罪に

 ついて定められた刑の最高限の一倍半までの

 範囲内 (ただし30年以下) で処罰します

 (併合罪加重)。


  このように、併合罪が同時に裁判される場合には、全体的にみて評価が

 行なわれる結果、例えばそのうちの一部が後になってから発覚して

 別に裁判を受ける場合よりも、犯人にとっては有利となります。

 そこで、併合罪について別々の裁判が行なわれる場合にも、

 刑の執行の点では、なるべく同時裁判の場合に近い

 結果となるように特別の既定が設けられています。