契約によって一定の商人と雇用関係に立ち、その商人の指揮監督に

服しながら、対外的に商人の商業上の業務を補助する者をいいます。

 同じ企業補助者として商法上代理商、問屋、仲介人、運送取扱人、

運送人などがあるが、商業使用人は特定商人の営業補助者であるという点で、

広く一般商人の営業補助機構である問屋や仲介人などと異なり、

また特定商人との間に従属関係に立っているという点で

独立関係にある代理商と区別されます。

 商業使用人は、例えば商品の売買、金銭の出納、商品・原材料の仕入れ、

金融など企業に特有な商業技術的労務に服し、かつ商人を代理して

対外的な取引行為を行う者であるから、家事使用人はもとより、

工場の技師とか工員、運送業者の運転手・車掌・船長その他の

船員、出版業者の編集員・記者、会社の顧問弁護士などの

生産または企業運営に必要な特別な技術上の労務に

服する者はこれに含まれません。

同様に営業のための労務に服する者でも内部的な雑務を分担する給仕、

運搬夫、配達人なども商業使用人ではありません。

また商業上の業務に服していても、対外的に、代理権を有しない簿記係、

現金出納係もまた商業使用人ではありません。

 商法は商業使用人として代理権を基礎に、支配人(該当項目参照)、

部分的に営業上の代理権を持った使用人(部課長など)および

物品販売人を目的とする店舗の使用人の三種に分けています。

 店舗の使用人は、本来当然には営業上の代理権を有するものではありません。

これらの者が営業主を代理して取引をなすためには、個別的に代理権を

附与されなければなりません。

 これらの使用人は、今日では一般の従業員(社員)と呼ばれている者に

あたるが、物品の販売を目的とする店舗の使用人、すなわち店員は、

単なる帳簿係であっても、その店に並んでいる物品については、

当然販売の権限があるとみられるのが普通です。

そこで、法は取引安全を保護する必要から、店員が営業主から現実にその

ような代理権が与えられているか否かを問わず、その店舗にある物品に

つき販売権限がある商業使用人として取り扱います。

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