我が国の刑法上の法定刑は、原則として 「相対的法定刑」 であって、
刑罰の種類または程度に最高限度と最低限度とを明示しています。
裁判所は、その範囲内において、個々の具体的犯行につき、法律が特に定めている
それを加重する事情、並びにそれを減軽する事情の存否を審査して、これを修正し、
そしてその習性された範囲内で、更に犯人および犯行の諸事情・程度等を
審査して、適当の具体的刑罰を定め、これを言い渡すのです。
例えば刑法は、累犯者の場合、または併合罪のような場合は、これを加重しなければ
ならないものとし、また逆に中止犯とか心神耗弱者とか、従犯のような場合には、
これを減軽しなければならないものとしています。
そればかりではなく、上記のような刑罰を加重または減軽する事情があるにしても
ないにしても、具体的犯罪の情状が同情に値するものであるときは、
いわゆる酌量減軽をもすることができるものとしています。
それであるから抽象的な相対的法定刑は、上記のような諸事情の
存否によって、ここに具体的犯行に対し是認刑罰の種類と
程度範囲は、ある程度に修正を受けてきます。
これを 「処断刑」 と称します。
例えば、強盗罪を犯した累犯者が心神耗弱者であれば、その処断刑は
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そして上記の 「処断刑」 の範囲内で、裁判所は、更に犯人の主観的
および客観的諸事情の一切を
刑罰を言い渡すことになります。
この処断刑の範囲内で、実際に言い渡される具体的な刑罰を
「宣告刑」 と称します。
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