比較的軽い自由刑ないし罰金刑の言渡しをする場合に、情状によって一定の期間

 (1年以上5年以下の範囲内で裁判所が決定します) その執行を猶予し、

 猶予を取り消されることなく、無事にその期間を経過したときは、

 刑の言渡しは効力を失うものとする制度です。


 執行猶予を許されている者がその期間内に、再び犯罪を犯したりすると、

 猶予を取り消され、実刑に服さなければなりません。


  もともと、罪を犯した者は、それに相応する刑の言渡しを受け、

 また、その執行を受けるのが当然です。


  しかし、犯罪の情状によっては、必ずしも現実に刑を執行する必要のない

 場合が少なくありません。

 特に偶発的な原因によって比較的軽い犯罪を犯したような初犯者であって

 既に充分後悔し、再犯のおそれもない者に対してまで一律に刑を執行すると、

 かえって自暴自棄にさせてしまい、また刑務所内で悪感化を受け

 真の犯罪人に仕立て上げられる危険性があります。


  このような弊害を忌避きひするために、執行猶予の制度が採用されて

 いるのです。

 執行猶予を許すか否かは、もとより裁判所の裁量に任されていますが、

 近年ますます活用され、現状では法律上猶予の可能な場合の

 過半数について猶予が許されています。