堤防を決壊し、水門を破壊し、その他水利の妨害となるような

 行為をする犯罪をいいます。



 刑は2年以下の懲役・禁錮または20万円以下の罰金に処せられます。

 水利権の保護がその本質で、公共危険罪 にはあたりません。


  公共危険罪である出水罪と同じ章に規定されているのは、この罪は、

 出水の危険を伴うことが多く、しかも手段も共通するからなのです。


  水利とは、灌漑かんがい・牧畜・水車・発電など一切の水の利用をいい、

 水の利用である限り流水でも貯水でも構いません。


  ただ、交通上の水の利用・水道による飲料水の利用は除外されます。

 それぞれ往来妨害罪・飲料水に関する罪に問われるからです。

 妨害される水利は、他人の権利に属するものでなければなりません。
 
 水利を妨げられた他人に水利権がないときには、この罪は成立しません。

 ただ、その水利権は習慣によって生じたものでも構いません (判例)。


  妨害の方法は、堤防の決壊、水門の破壊のほか、水の流れの

 閉塞・変更、貯水を流れ出させるなど現実に水利を妨害する

 おそれのある一切の行為です。

 ただ軽微な水路の流れを妨げるような行為はこれが適用されず、

 軽犯罪法1条25号の適用を受けるのみです。

 実際に水利妨害の結果が生じたことは必要とはしません。