現に人が乗っている汽車・電車・艦船を転覆・沈没・破壊する罪で、

 刑は無期または3年以下の懲役に処せられます。

 未遂罪も処罰されます。


  目的物には現に人が乗っていることが必要となりますが、犯罪の実行

 開始時に犯人以外の人が居れば充分であり、結果発生のときには

 必要とはしません (判例)。

 人の乗っていない汽車などの転覆については127条が適用されます。


  沈没とは、転覆により水没することです。

 破壊とは、交通機関としての用法の全部または一部を不能にする程度の
 
 損壊をいい、窓ガラス一枚を割った程度のものは含まれません

 (通説・判例)。

 不特定または多数の人の生命・身体に危険を生じるような

 損壊でなければならないからです。


  この罪を犯し、その結果人を死に至らしめたときは死刑または

 無期懲役となります。

 致傷にとどまる場合においては規定がありません。

 ただ、1・2項の適用があるにすぎないと解せられています (通説)。

 また、殺人の故意をもってこの罪を犯したときは、
 

 ⅰ.殺人未遂に留まれば、1・2項と殺人未遂罪との観念的競合となる。

 ⅱ.既遂になれば3項のみの適用がある。


 と通説は理解しています。

 これに対して、殺人の未遂・既遂を問わず、殺人罪と3項との

 観念的競合となるという有力な説が存在します。